青葉食堂は旅の塒

青葉食堂は旅の塒。現実という名の旅に少し疲れた筆者が食べ物系のネタを中心に綴るブログ(その時による)。

二宮飛鳥「僕はここにいる」のお話(作品裏話)

 二宮飛鳥というアイドルのことについて知ってほしくて、『飛鳥の一年・飛鳥とはこんな娘だ!!』という事をテーマに作った動画。宣伝ツイートをしたところ沢山の拡散をいただきまして恐縮。なので、あの3分の中に混ぜ込んだ想いをここに書き連ねて、自分の備忘または見てくださった方々がさらに「ほうほう~!」となるようなものとしたいと思いまする。どうぞよろしくお願いします。

選曲のお話 

「僕はここにいる」

僕はここにいる

僕はここにいる

 

  今回お借りした曲は、インターチャネルよりリリースされたrino氏の「僕はここにいる」という曲です。rino氏はダ・カーポⅡのED「Spring has come」を歌っていたり、藍井エイル田所あずさに楽曲提供なされていたりといった活動をされています。ただ今のところは楽曲提供方面でよく名前を見る人のようですね。

 そしてこの曲、世代の方にはブッ刺さるかもしれないテレビアニメ「金色のガッシュベル」にてたった2度しか流れなかった伝説の挿入歌としてファンの記憶に残っている曲であります。本当にここぞ、というところでだけ流れたので、曲名を知らなくても当時「ガッシュ」を見ていた方ならフレーズを覚えているかもしれない。

 前置きが長くなってしまいましたが、今回この曲をなぜ使おうと思ったか。それは歌詞のイメージが自分の中で大きな要素を占めています。

先へと進む意志の力

 二宮飛鳥といえば、今年一年で大きく活躍の場を広げ、シンデレラガールズ5周年記念曲「EVERMORE」の選抜メンバーにも選出される躍進を遂げたアイドルです(ホンマ…めでたいな…)。彼女を語る上で外せないのがソロ曲「共鳴世界の存在論(オントロジー)」なのですが、曲中に今回の楽曲とシンクロする部分があったので、少し抜粋してご紹介しましょうね。

 

存在証明を その悲鳴を 或いは歌を

 叫び続ける ボクはここにいる

 次のセカイ(シンセカイ)の 鍵をそっと 回したなら 

 さぁ 光の中へ 今

 これに対して、「僕はここにいる」の方は。タイトルからすでに合致しているから…という突込みはすこーしだけ引っ込めてネ。

届かない空 ざらつく風 君は花唄のよう

 僕はここにいるよ

 その先へと 羽ばたくために」 

 僕はここにいる、と曲中で叫んでいるのは共通なのですが、それだけではありません。ともに在るのは「先へと進む意志」です。自分自身はここにいるというココロの動きを、『存在論』では重厚なギターサウンドでかき鳴らしているけど、『ここにいる』ではさわやかかつ力強い曲調で表現しています。雰囲気から見て少し解釈の違いがあるのだけど、「ボクがここにいる」のは、(次のセカイに/その先に)行くためという解釈は合致していたからこそ、一見さわやかすぎるこの曲も、よーく聴くと『存在論』で言っていることの言い換え・進展を描いていることがわかったのです。飛鳥に強く合致してるのではないかと感じたわけでございます。

注目してほしいなポイント

 福山雅治は、かつてファン会報でこんなことを言ったと言います。

あまり(解説)しすぎてもあなたの解釈の邪魔になってもいけないので(2005年)*1

 これから注目ポイントを語るのにこの言葉を持ち出してくるのもどうかと思うのだけれど、要は、見てくださった方々の解釈が一番大切だという事です。この記事はあくまでも備忘っていう線もあるし、あくまでも人の解釈とは千差万別だし、ね。

①冒頭

 「ボクはアスカ――二宮飛鳥」というおなじみのセリフから本動画は始まります。

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 こいつはイタい奴だってね、というセリフと同時に用意したこれは、「バイアス」をイメージしたものです。

 飛鳥は巷では「静岡弁」と揶揄されているような回りくどい喋り方をする子なのですが、それは誰にでも最初にこの話し方をすることによって寄ってくる人を「選別」していると考えられるのです。

 根拠はあります。まるで「ボクはキミの事を知らないけれど、キミはボクを知っているのかい?」というセリフの反応が最初から分かり切っていたかのように、このセリフを彼女は吐く。それはきっと、そういう質問をしていてもまともに取り合ってくれる人が少なかったことを薄々ではありますが示唆しているのではないでしょうか?

 だからこそこの反転は、ごく一般的な人々が飛鳥に対して抱くであろう感情そのものなのです。色を反転させたら上の通り飛鳥の本来持つ色が非常に見苦しくなったように、バイアスがひとたびかかった瞬間に人は相手の人間を正当に評価できなくなってしまうモノです。

 だからこそ僕はこの動画をぜひ「飛鳥をまだまだ知らない」という人にこそ見てほしい。蘭子とも組みダークイルミネイトを結成した個性派キャラである飛鳥なのですが、彼女の心の奥底は強い痛みと葛藤と決意が渦巻いていたりするということを、冒頭から中盤にかけて頑張って盛り込んだつもり。

②ラスト・EVERMOREへの道

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セピアノイズ」という、古びたフィルムっぽい質感を出すための動画ソフトの効果があります(上図蘭子、ひだりほほにそばかすっぽいのがありますが、それがセピアノイズさんです)。このノイズは動画の終盤をのぞき常にかけた状態にしてあるのですが、逆に動画終盤は「現在」を表現するためにセピアノイズを切り、EVERMOREのオリジナルメンバーで踊る飛鳥を映しました(城ケ崎姉には今回涙を呑んで位置交代して頂いた)。

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 冒頭では「一番最初のセリフ」から入り、最後に〆るのは「現在」。ゼロが過去でイチが未来…とはちょっと違うけれど、飛鳥はここまでPさんたちに認知されるキャラとなったんだ、ということを表現したかったのです。

③途中で飛鳥が思い出す人たち

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 飛鳥が自分の存在意義に悩むシーンが動画内であります(Quelle est ma raison d'être?)。二宮飛鳥というアイドルそのもののテーマを言うなら、「なぜ自分はここにいるのか」という事。共鳴世界の存在論の歌詞中でも触れられていたり、デレステメモリアルコミュ4(最終回)で攫われていたりと、幾度にわたって語られている、いうなれば至上命題でもあります。

 ネタバレを避けるためにはっきりした言及は避けるものの、『存在論』、コミュ、アイドル…いや芸能人としての定義のひとつとも言える「ファンがいるから活動できる」という事実から、飛鳥の存在を担保する存在は「他者」と言って間違いないと僕は考えています。

 飛鳥はとくにR+のカードで積極的に「ファン」について言及しています。

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 …が、ほかにも近年のコミュやイベントにて横のつながりがたいそう広がりました。そして飛鳥を見出しスカウトしたPの存在。飛鳥は三つの「他者」に支えられているからこそ、存在証明という叫びをあげることができるのです。

ぶっちゃけ横の広がり広くなりすぎて全部攫いきれないよぉ…というわけで、ここで出ていない子も、忘却したわけでは一切ないよ!!

まとめ

 僕が飛鳥に出会うきっかけを作った一本の動画を投稿して、もうすぐ一年。

『雪歩の行進』という過去作品以来1年ぶりくらいにMADを作ろうと一念発起し、『飛鳥の一年・飛鳥とはこんな娘だ!!』という事をテーマに作った本作でした。しかし、彼女について普段のノベル畑とはちがった手段で表現するのが難しい。飛鳥は文で表現するにはいくらでも表現できるのですが、映像効果で彼女の感情を演出するのは至難の業でして、ずいぶん文字とセリフ、そして楽曲に助けられたなぁとつくづく。

 今後も精力的に飛鳥の動画を作り、ご覧になるPサンたちに笑顔になってもらえればな…と思います。また、最後になりましたが、今回動画を作る上で「ハバネロP」のブログ、ナデクロPのお話を参考にさせて頂きました。またたくさんの素材をお借りして作らせて頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 長い文でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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